
持ち家でも役員社宅制度
を活用できるって聞いた
んだけど…?
こんにちは、税理士の城戸です。
今回は、そんな疑問を持たれている方向けの記事です。
持ち家の場合に役員社宅制度を活用する方法と、その注意点やリスクについて解説します。
方法はあることはありますが…
注意点やリスクがけっこうありますね。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

それでは、早速
見ていきましょう。
【持ち家の場合に役員社宅制度を活用する方法 その1】自宅を会社に売却する。
まず1つ目として、「社長(役員)の持ち家を会社に売却する」という方法があります。
所有者が社長から会社に変わり、会社所有の役員社宅として自宅に住むという流れですね。
ただし…
この方法には、下記の注意点やリスクがあります。
住宅ローン控除が受けられなくなる。
自宅を売却すると社長個人の所有ではなくなるため、住宅ローン控除を受けることはできません。住宅ローン控除を受けている場合には、要注意です。

なお、住宅ローンが残って
いる場合には、一括返済な
ども考えなくてはなりませ
んね。
譲渡所得税がかかる。
自宅を売却した場合、社長個人に譲渡所得税がかかる可能性があります。
所有期間が5年以下の場合の税率は約40%、5年超の場合は約20%です。

特に所有期間が5年以下
の場合には、高い税率に
なってしまいます。
なお、売却先が自分の会社(同族会社など特別の関係にある会社)の場合には、3,000万円の特別控除や軽減税率など“マイホームを売却した場合の特例”を受けることはできませんので、ご注意ください。
その他、譲渡所得により所得が増加し、配偶者(特別)控除や基礎控除が受けられないといったことも考えられますので、その点も併せてご注意を。
適正な時価で売却する必要がある。
売却価格が適正な時価でない場合、下記の税務上のリスクがあります。
【社長個人側】時価課税される。
売却価格が時価に比べて著しく低い場合(時価の1/2未満の場合)には、時価で売却したものとみなされ課税されます。
さらには、売却先が自分の会社ですので、時価の1/2以上であったとしても時価で売却したものとみなされ課税される可能性もありますね。
【会社側】時価との差額が課税される。
一方、会社側においても、時価との差額は受贈益として課税されます。
また、売却価格が時価に比べて著しく低い場合において会社の株式の価額が増加した場合には、他の株主への贈与といった問題も出てきます。
(※自宅を会社に贈与した場合も同様です)

その他、会社側では、不動
産取得税や登録免許税など
もかかってきますね。
注意点・リスクまとめ
以上、注意点やリスクをまとめると、次のとおりです。
「持ち家を会社に売却する」方法を検討する際は、こういった注意点やリスクについても十分に理解しておくようにしましょう。
ちなみに…
自分の会社との取引ですので、税負担を不当に減少させているとして、この方法そのものが否認されるという可能性もゼロではないですね。
(※「同族会社の行為計算否認」です)
【持ち家の場合に役員社宅制度を活用する方法 その2】自宅を賃貸物件として貸し出す。
次に、2つ目の方法として、「社長の持ち家を賃貸物件として貸し出す」という方法があります。
自宅は賃貸物件として貸し出し、社長は会社が用意した役員社宅に住むという流れですね。
なお、注意点やリスクは、下記のとおりです。
住宅ローン控除が受けられなくなる。
自宅を賃貸物件として貸し出しますので、住宅ローン控除を受けることはできません。
住宅ローン控除は、「本人が居住していること」が要件です。

なお、住宅ローンが残っ
ている場合には、銀行と
も色々話をしなければな
りませんね。
不動産所得が発生する。
不動産所得(家賃収入)が発生します。
税率は約15%〜約55%で、役員報酬などの他の所得と合算して計算します。
(※所得が増えれば増えるほど税率が上がる、「超過累進課税」です)
ちなみに、自宅の固定資産税や損害保険料、減価償却費などが経費になりますね。
注意点・リスクまとめ
以上、まとめると次のとおりです。
「持ち家を会社に売却する」という方法からすると、注意点やリスクはやや少ないですね。
とはいえ、こういった注意点やリスクもあるということも、しっかりと理解しておきましょう。
なお、「持ち家を会社に貸し出し、会社が役員社宅として再び社長に貸す」という方法も考えられますが、取引としては少しきびしいかな…と思います。
ご参考までに。
まとめ
今回は、『持ち家でも役員社宅制度を活用できる?注意点やリスクを解説。』について解説しました。
役員社宅制度の活用については、通常は“賃貸”が前提になるかと思いますが、“持ち家”の場合でも方法がないわけではありません。
ただし、注意点やリスクもかなりありますので、十分にご注意ください。
(※相続のことも考える場合には、「小規模宅地等の特例」についても判断材料に含めた方がいいかもしれません)
ぜひ、参考にしていただけると嬉しいです。




