
割戻し計算と積上げ計算?
何がどう違う?
どっちを選んだらいい?
こんにちは、税理士の城戸です。
今回は、そんな疑問を持たれている方向けの記事です。
消費税の割戻し計算と積上げ計算について、解説します。
どう違って、どっちを選択したらいいのか悩みますよね。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
(※今回は、一般課税で計算する場合を前提としています)

それでは、早速
見ていきましょう。
割戻し計算?積上げ計算?
消費税は、売上税額から仕入税額を控除して計算します。
そして、その売上税額と仕入税額の計算方法として「割戻し計算」と「積上げ計算」があります。
それぞれの特徴をまずざっくりと説明すると、次のとおりです。
つまり、売上や仕入の合計額をもとに計算するのが割戻し計算、インボイスに記載された消費税額をもとに計算するのが積上げ計算ということです。
売上税額の計算方法は?
売上税額の計算方法は、原則、割戻し計算です。
ただし、インボイスの写しを保存している場合には、積上げ計算を選択することもできます。
では…
割戻し計算と積上げ計算とで、売上税額はどう変わってくるのでしょうか?
例えば、税込500円(消費税45円)の売上が7,000個ある場合について見ていきましょう。
(※1個の売上に、1枚のインボイスを発行しているとします)

なお、税率は10%で、
インボイスに記載する
消費税の端数処理は、
切り捨てとします。
【原則】割戻し計算
税込売上高の合計額から税抜売上高(課税標準額)を求めて、その金額に税率をかけて売上税額を算出します。
具体的には、次のとおりですね。
- 500円 × 7,000個 = 3,500,000円
- 3,500,000円 × 100/110 = 3,181,818円
→3,181,000円(1,000円未満切り捨て) - 3,181,000円 × 10% = 318,100円
厳密な計算ではありませんが、ざっくりとこんな感じです。
【特例】積上げ計算
一方、積上げ計算で計算した場合の売上税額は、次のとおりです。
45円 × 7,000枚 = 315,000円
1枚のインボイスに記載された消費税額が45円ですので、7,000枚で315,000円ですね。
どちらが有利?

ということは、積上げ計算
の方が売上税額が少なくな
るから、積上げ計算の方が
有利ってこと?
必ずしもではありませんが…
今回の具体例のように、インボイスに記載する消費税額の端数処理を切り捨てにしている場合には、割戻し計算よりも積上げ計算の方が有利になりやすいです。
(※インボイスの端数処理は、その他切り上げや四捨五入も選択できます)
インボイスを発行するたびに端数処理を行いますので、割戻し計算よりも積上げ計算の方が「切り捨て」の回数が多くなりますからね。
売上金額が比較的少額で売上回数が多い小売業や飲食店業などの場合は、特にそうです。
ただし…
積上げ計算は、「インボイスに記載された消費税額の合計額」に基づいて計算する方法ですので、インボイスの端数処理と会計ソフトの端数処理を合わせていたとしても、その合計額と「会計ソフト上の仮受消費税の合計」が一致していることを確認する必要があります。
積上げ計算を検討する際には、こういった事務負担についても考えておくようにしましょう。
仕入税額の計算方法は?
続いて、仕入税額の計算方法について見ていきましょう。
仕入税額の計算方法は、原則、積上げ計算です。
ただし、割戻し計算を選択することもできます。
では…
積上げ計算と割戻し計算とでどう変わるのか、仕入税額についても見ていきましょう。
例えば、税込300円(消費税27円)の仕入が7,000個ある場合についてです。
(※1個の仕入に、1枚のインボイスを受け取っているものとします)

なお、税率は10%で、
インボイスに記載され
た消費税の端数処理は
切り捨てとします。
【原則】積上げ計算
請求書等積上げ計算
まず、積上げ計算(請求書等積上げ計算)で計算した場合の仕入税額は次のとおりです。
27円 × 7,000枚 = 189,000円
1枚のインボイスに記載された消費税額が27円ですので、7,000枚で189,000円ですね。
帳簿積上げ計算
なお、仕入税額については、帳簿積上げ計算も認められています。
「インボイスに記載された消費税額」ではなく「会計ソフト上の仮払消費税の金額」を積み上げて計算する方法です。
この方法だと「インボイスに記載された消費税額の合計額」を集計する必要もないので、かなり楽ですね…
税抜経理方式を採用している場合には、帳簿積上げ計算で良さそうです。

ちなみに、帳簿積上げ計算で
計算した場合も、仕入税額は
189,000円となります。
【特例】割戻し計算
一方、割戻し計算の場合は、税込仕入高の合計額に10/110をかけて仕入税額を算出します。
具体的には、次のとおりですね。
- 300円 × 7,000個 = 2,100,000円
- 2,100,000円 × 10/110 = 190,909円
※1円未満切捨て
厳密な計算ではありませんが、ざっくりとこんな感じです。
どちらが有利?

仕入税額の場合は割戻し
計算の方が多くなるから、
割戻し計算が有利になる?
必ずしもではありませんが…
仕入税額については、積上げ計算よりも割戻し計算の方が有利になりやすいです。
割戻し計算の場合は、端数処理が1回で済みますからね。
ただし、売上税額について積上げ計算を選択している場合には、仕入税額について割戻し計算を選択することはできません。
その点、ご注意ください。

売上税額にも仕入税額にも
有利な計算方法を選択する
ことはできないということ
です。
どちらを選択する?
では、選択できる組み合わせはどういった組み合わせになるのでしょうか?
結論は、下記表のとおりです。
| 売上税額 | 仕入税額 |
| 割戻し計算 | 積上げ計算 or 割戻し計算 |
| 積上げ計算 | 積上げ計算 |
先述のとおり、どちらにとっても有利な計算方法(「積上げ計算 × 割戻し計算」)を選択することはできません。
ですので、この中で考えられる組み合わせは…
「割戻し計算 × 割戻し計算」or「積上げ計算 × 積上げ計算」ですね。
(※「割戻し計算 × 積上げ計算」は、どちらにも不利な計算方法となる可能性が高い組み合わせです)
つまり、これまで通りの計算方法(「割戻し計算 × 割戻し計算」)でいくのか?、それとも「積上げ計算 × 積上げ計算」にするのか?ということです。
シミュレーションといってもなかなか難しいかと思いますが、ざっくりとした納税額の予測とそれに伴う事務負担を比較したうえで、自社にとって最適な方法を選択するようにしましょう。
ちなみに、“小売業や飲食店業のように売上回数が多い”というわけではない場合には、これまで通りの「割戻し計算 × 割戻し計算」でいいのかもしれません。
計算方法を変えるほどのメリットはないかと…

ご参考までに。
まとめ
今回は、『割戻し計算と積上げ計算?違いは?どっちを選ぶ?』について解説しました。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

参考サイト&根拠法令等

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