役員社宅制度の賃貸料相当額の計算方法|社長の家賃はいくら?

法人税

役員社宅制度って、社長は
いくら家賃を払えばいい?
賃貸料相当額?

こんにちは、税理士の城戸です。
今回は、そんな疑問を持たれている方向けの記事です。

役員社宅制度を利用すると、社長が住む自宅の家賃の一部を会社の経費にすることができます。
ただし、この場合、会社は社長から「賃貸料相当額」以上の家賃を受け取る必要があります。

「じゃあ、賃貸料相当額っていくらになるのか?」
という疑問が出てきますよね。

そこで今回は、その賃貸料相当額の計算方法について、具体的に解説していきます。
注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしていただけるとうれしいです。
(※自社保有ではなく、“借り上げ”を前提としています)

それでは、早速見て
いきましょう。

小規模な住宅?それ以外の住宅?

役員社宅の賃貸料相当額は、「小規模な住宅」か「それ以外の住宅」かによって、その計算方法が異なります。
ですので、まずは、その社宅がどちらに該当するのかを確認してみましょう。

なお、下記に該当する場合、その社宅は「小規模な住宅」となります。
(※社宅の床面積によって、「小規模な住宅」か「それ以外の住宅」かに分かれます)

建物の法定耐用年数社宅の床面積
30年以下
※木造の住宅など
132㎡以下
30年超
※鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションなど
99㎡以下

ただし、マンションなどの場合は、その専有部分の床面積だけで判定するわけではありません。
廊下やエレベーターなどの共用部分を各部屋にあん分し、その床面積を加えて判定します。

例えば専有部分が80㎡で、あん分した共用部分が20㎡だった場合は、100㎡(80㎡+20㎡)で判定するということですね。
その点、ご注意ください。

ちなみに、、、
「小規模な住宅」に該当
しない場合は、「それ以外
の住宅」になります。

役員社宅の賃貸料相当額の計算方法は?

それではここからは、役員社宅の賃貸料相当額の計算方法について、具体的に見ていきましょう。

その社宅が「小規模な住宅」に該当する場合

賃貸料相当額は、次の3つの金額の合計額になります。

  • 建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2%
  • 12円 × (その建物の総床面積(㎡) ÷ 3.3㎡)
  • 土地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%

少し複雑に見えますが、それぞれ計算して合計するだけです。
課税標準額などが分かれば、問題なさそうですね。

ちなみに、上記算式で計算した場合、賃貸料相当額は実際の家賃の10%~30%程度となることが多いです。
つまり、「小規模な住宅」に該当する場合は、実際の家賃の70%〜90%を会社の経費にすることができるということです。

もしも「今、家賃の50%で計算しているよ」という場合には、厳密に計算すると、もっと節税できるかもしれませんね。

ただし、必ず個別に計算する
必要がありますので、その点
ご注意ください。

その社宅が「それ以外の住宅」に該当する場合

賃貸料相当額は、次の❶と❷のいずれか高い方の金額となります。

  • 実際の家賃の50%
  • 次の③の金額
    • 建物の固定資産税の課税標準額 × 12%※
      ※鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションなど法定耐用年数が30年を超える建物の場合には、12%ではなく10%を乗じます。
    • 土地の固定資産税の課税標準額 × 6%
    • (①+②)÷ 12

「実際の家賃の50%」と「課税標準額をもとに計算した金額」を比較して、高い方の金額が賃貸料相当額となるということですね。

こちらも一見難しそうですが、課税標準額さえ分かれば、ひとつひとつ計算していくだけです。

ちなみに、この場合、
実際の家賃の50%が
賃貸料相当額となる
ことが多いです。

いずれにしても賃貸料相当額は、実際の家賃よりもかなり低い金額となります。
その差額が会社の経費にもなり、節税につながるということです。

特に、その社宅が「小規模な住宅」に該当する場合は、節税メリットもより大きくなりますね。

、、、で、課税標準額はどうやって確認する?

それで、その賃貸料相当額
の計算に必要な課税標準額
などは、どうやって確認し
たらいい?

家主や不動産会社に確認する

まずは、“家主や不動産会社に確認する”というのが1番簡単です。

毎年所有者に送付される「固定資産税・都市計画税の納税通知書」には、課税明細書が同封されています。
その課税明細書のコピーをもらえば、OKです。
(※課税明細書に、建物・土地の課税標準額や構造、床面積が記載されています)

なお、マンションなどの場合は、登記事項証明書(建物)も必要になる場合がありますね。
(※次の、“市役所等で確認する”方法による場合もです)

市役所等で確認する

また、“市役所等で確認する”という方法もあります。
「家主や不動産会社から、課税明細書のコピーがもらえない、、、」という場合もありますよね。

地方税法の規定により、賃借人は固定資産課税台帳の記載事項の証明を取得することもできますので、その社宅が所在する市役所等に問い合わせてみましょう。

ちなみに、取得する証明書は、「評価証明書」ではなく「公課証明書」をおすすめします。
会社名義で取得しましょう。
(※評価証明書は「評価額のみ」、公課証明書は「評価額」に加えて、「課税標準額」「税相当額」が記載されています)

なお、税務調査でもしっかり
と説明できるよう、これらの
書類は必ず保存しておきまし
ょう。

賃貸料相当額を計算するうえでの注意点は?

それでは、最後に注意点について見ていきます。

【注意点その1】豪華社宅はそもそもNG!

その社宅が(いわゆる)豪華社宅である場合には、そもそも“役員社宅制度”の対象となりません。(※豪華社宅の場合には、実際の家賃が賃貸料相当額となりますので、特に節税メリットがないということです)

例えば、床面積が240㎡を超えている場合や一般の社宅にはないプール等の設備がある場合などには、豪華社宅と判定される可能性がありますので、ご注意ください。

【注意点その2】現況床面積を使おう!

マンションなどの場合は、課税明細書や公課証明書に記載されている「現況床面積(課税床面積)」が、共用部分を按分加算した床面積になります。

小規模な住宅に該当するかどうかの判定等をはじめ、基本的には、その現況床面積を使っていきましょう。

【注意点その3】課税標準額が見直されたら、賃貸料相当額も計算し直す必要あり!

建物と土地の課税標準額は、通常、3年ごとに見直されます。
課税標準額が見直された場合、賃貸料相当額についても計算し直す必要がありますので、ご注意ください。

ちなみに、次回の見直しは、令和9年度(2027年度)です。
いつの年度の課税標準額を計算に使ったのかも、メモしておきましょう。
(※土地が全般的に下落した場合などは、通常の見直し年度以外でも見直されることもあります)

「なんか面倒だな、、、」と
いう場合は、社長から徴収
する家賃を少し高めにして
おくという手もありますね。

まとめ

今回は、『役員社宅制度の賃貸料相当額の計算方法|社長の家賃はいくら?』について解説しました。

賃貸料相当額は、実際の家賃よりもかなり低い金額となります。
その差額が会社の経費にもなり、節税につながるんですね。
特に、その社宅が「小規模な住宅」に該当する場合には、節税メリットも大きくなります。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

  • 役員社宅制度の賃貸料相当額は、「小規模な住宅」か「それ以外の住宅」かによって計算方法が異なる。
  • なのでまずは、どちらに該当するのかを確認しよう。
  • 「小規模な住宅」に該当する場合は、実際の家賃の10%~30%程度となることが多い。
  • 一方、「それ以外の住宅」の場合は、実際の家賃の50%となることが多い。
  • ただし、必ず個別に計算する必要がある
  • なお、課税標準額等は、家主や不動産会社に確認するのが1番簡単。
  • でも、市役所等で確認することもできる。
  • 【注意点その1】豪華社宅はそもそもNG!
  • 【注意点その2】現況床面積を使おう!
  • 【注意点その3】課税標準額が見直されたら、賃貸料相当額も計算し直す必要あり!
根拠法令等
  • 所得税法第36条
  • 所得税法施行令第84条の2
  • 所得税基本通達36-15、36-40〜42
  • 平7課法8-1外
  • 地方税法第382条の2及び3

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