『法人成り』をして倒産防止共済を引き継いだんだけど、仕訳ってどうなるんだろう、、、?
こんにちは。税理士の城戸です。
今回は、そんな疑問を持たれている方向けの記事です。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
倒産防止共済のよくある質問、 Part3です。
倒産防止共済の「引き継ぎ」時の仕訳
個人事業主側の仕訳
『法人成り』により、倒産防止共済を法人に引き継ぐ場合の仕訳は、次のとおりです。
「引き継ぎ」時の解約手当金相当額は、2,000,000円。かつ、法人へ有償(時価)で引き継ぐ場合を前提としています。
日付は、廃業日ですね。
『倒産防止共済に関する権利』を、時価で法人に譲渡したものと考えます。
ここでの時価は、「引き継ぎ」時に解約したとした場合の解約手当金相当額。
「今、倒産防止共済を解約したとしたら、解約手当金はいくらもらえるのか?」を、『倒産防止共済に関する権利』の時価とします。
掛金はすべて経費に計上していますので、解約手当金相当額が雑収入(事業所得)となります。
解約手当金相当額で課税される、ということですね。
法人側の仕訳
『法人成り』により、倒産防止共済を個人事業主から引き継ぐ場合の仕訳は、次のとおりです。
先ほどと同じく、「引き継ぎ」時の解約手当金相当額は、2,000,000円。かつ、個人事業主から有償(時価)で引き継ぐ場合を前提としています。
日付は、法人の設立日です。
『倒産防止共済に関する権利』を、時価(解約手当金相当額)で取得したものと考えます。
支払った金額(解約手当金相当額)は、保険積立金として資産計上します。
権利の取得ですね。
経費となりませんので、ご注意を。
なお、解約手当金額については、共済サポートnaviの「お問い合わせ」にてご確認ください。
共済契約者番号があると、より、Goodです。(共済契約者番号は、「共済契約締結証書」や「掛金納付状況兼領収書」でも確認可能です。)
解約手当金相当額がない場合
「引き継ぎ」時の解約手当金相当額がない場合は、、、?
加入期間が、12ヶ月未満の場合ですね。
その場合は、『倒産防止共済に関する権利』の時価は0円(無し)となりますので、個人事業主側でも法人側でも仕訳は必要ありません。
個人事業主側での課税もない、ということです。
もちろん、「承継手続き」は必要となりますので、ご注意ください。
、、、?「引き継ぎ」時点での加入期間が12ヶ月未満の場合は、「掛け捨て」になるということ?
「掛け捨て」にも「目減り」にもなりません。
そもそも、倒産防止共済を法人に「引き継ぎ」していますので、解約したわけではありません。
中小機構から解約手当金が支払われるわけでもなく、あくまで、税務上「引き継ぎ」時に解約したとした場合の解約手当金相当額を時価として、、、というお話です。
「掛け捨て」か「目減り」になるかどうかは、引き継いだ法人が解約する場合の状況によります。
このように思われている方もいるようですね。
ご安心ください。
結局、法人で課税される。
ということは、、、
「引き継ぎ」時の解約手当金相当額がないときの方が、お得ということ?
いいえ、そういうわけではありません。
確かに、その場合、個人事業主側での課税はありません。
ですが、引き継いだ法人が、倒産防止共済を解約して「解約手当金」を受け取ったときに、その分、課税されることとなります。
個人事業主側で課税されなかった分は、法人側で課税される、、、ということです。(「引き継ぎ」時の解約手当金相当額が掛金総額より少ない場合も、同様です。)
そういった意味での損得はありませんので、その点も、ご留意ください。
ただし、『法人成り』は計画的に。
税率等を考慮して、タイミングなどを考えていきましょう。
まとめ。
今回は、『倒産防止共済と法人成り、、、引き継いだ場合の仕訳は?』について解説しました。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
このブログは、更新日時点における法令等に基づいて作成しています。