返還インボイス。少額な値引き等は不要!注意点も。

インボイス制度

こんにちは。税理士の城戸です。

今回は、返還インボイスの交付義務について。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

インボイス発行事業者を前提としています。
立場としては、売り手側です。

前回のブログは、こちら。

返還インボイスの交付義務

インボイス発行事業者は、

返品や値引き等により、代金の返金や掛代金を減額した場合、

返還インボイスを交付する義務があります。

ちなみに、、、相手先が一般消費者や消費税免税事業者の場合は、不要です!

返還インボイスの記載事項は、次のとおり。

①インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②返品等により、代金の返金や掛代金を減額する日
③返品等の基となる取引の年月日
④返品等の基となる取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
⑤税率ごとに区分して合計した返金等の金額(税抜き又は税込み)
⑥返金等の金額に係る消費税額等又は適用税率

③については、「◯月分」という記載でもOKです。

返還インボイス。少額な値引き等の場合は、不要です!

インボイスに、返還インボイスまで、、、

本当に、大変ですよね。

そこで、、、

令和5年度の税制改正で、

「返品や値引き等の金額が少額(1万円未満)である場合は、返還インボイスは不要!」

ということに。

「少額な返還インボイスの交付義務免除」です。

事業者の事務負担軽減のためですね。

「少額な返還インボイスの交付義務免除」は、

  • すべての方が対象
  • 適用期限がない(ずっとOK)

です。

売り手が負担する振込手数料についても、

「売上値引き」として処理する場合は、返還インボイスは交付しなくてもOKに!

もちろん、振込手数料が1万円未満の場合ですね。

少額の判定

少額であるかどうかは、

返金した金額や債権の減額金額が「1万円未満」であるかどうか、で判定します。

ポイントは、

  • 税込で判定
  • 返金した金額や、値引き等の対象となる請求や債権の単位ごとに減額した金額で判定
  • 標準税率(10%)と軽減税率(8%)が含まれている場合も、合計で判定

です。

具体例
  • 500,000円の請求に対し、買い手が振込手数料相当額の440円を減額した499,560円を支払った場合(売り手は、440円を「売上値引き」として処理
    ➡️1万円未満
    ➡️返還インボイス不要!
  • 400,000円の請求に対し、1商品当たり100円のリベート(合計20,000円)を後日支払った場合
    ➡️1万円以上
    ➡️返還インボイスが必要!

参考:インボイスQ&A 問28

注意点

このブログでも解説した「少額特例」とゴチャゴチャにならないよう、注意してください。

「少額特例」とは、

「少額(1万円未満)の課税仕入れについて、帳簿の保存のみで仕入税額控除を認める。」

というもので、

  • 一定規模以下の事業者のみ対象
  • 制度開始後6年間のみ

です。

同じ「1万円未満」で、紛らわしいですね。

少額特例については、下記ブログで解説しています!

➡️『少額特例とは?少額の判定単位についても解説!』

おわりに

今回は、インボイス発行事業者の義務の1つ。

返還インボイスの交付義務について、解説しました。

経過措置、例外措置、1万円未満、3万円未満、、、

なかなか大変ですね。

一緒にがんばりましょう!

参考:インボイス制度について

このブログは、更新日時点における法令等に基づいて作成しています。