倒産防止共済の経理処理は?融資審査や申告書作成にも影響?

法人税

倒産防止共済の経理処理、どうしたらいいんだろう?
掛金納付したり、解約手当金受け取ったり、、、。

こんにちは。税理士の城戸です。

今回は、そんな疑問を持たれている方(法人)向けの記事です。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

倒産防止共済のよくある質問、 Part1です。

倒産防止共済の経理処理は?【掛金編】

倒産防止共済の掛金納付時の経理処理には、「費用として処理する方法」と「資産として計上する方法」の2つがあります。

具体的には、次のとおり。

例えば、掛金70,000円を納付した場合の仕訳です。

掛金を「費用」として処理する方法

仕訳例
借方科目金額貸方科目金額
保険料70,000円普通預金70,000円

勘定科目は、「共済掛金」などでもOK。
区分は、通常、「販売費及び一般管理費」です。

この方法で経理処理した場合のメリットは、「申告書での調整が必要ない」ということ。

倒産防止共済の掛金について、会計上「費用」としていますで、法人税計算上も「費用(損金)」としたい場合、特に調整は必要ありません。(⚠️確定申告書に、一定の書類の添付は必要です。)

申告書を作成する上での、メリットですね。

一方、デメリットとしては、「決算書が実態より悪くなる」ということ。

倒産防止共済の掛金は、積立金的な性格のものです。(掛金を12ヶ月以上納付した場合、掛金総額の全額又は一部が戻ってきます。)

その掛金を「資産」ではなく「費用」として処理しますので、当然、決算書は実態より悪くなってしまいます。

融資審査においては、デメリットです。

申告書作成はシンプルですが、融資審査的にはマイナスです。

掛金を「資産」として計上する方法

仕訳例
借方科目金額貸方科目金額
保険積立金70,000円普通預金70,000円

勘定科目は、「保険積立金」が一般的です。
区分は、通常、「投資その他の資産」ですね。

この方法で経理処理した場合のメリットは、「決算書が実態を反映したものになる」ということ。

積立金的な性格の掛金を、「費用」ではなく「資産」として計上しますので、決算書は実態を反映したものになります。

掛金を「費用」として処理する方法より、決算書もよくなります。

金融機関の評価的にも、プラスです。
融資審査において、メリットになります。

一方、デメリットは、「申告書での調整が必要」ということ。

会計上、倒産防止共済の掛金を「資産」として計上していますので、法人税計算上「費用(損金)」としたい場合には、調整が必要となります。(⚠️確定申告書に、一定の書類の添付も必要です。)

具体的には、別表四と別表五(一)での減算調整です。

申告書作成での「ひと手間」が必要となります。

申告書作成は少し面倒ですが、融資審査的にはプラスです。
ちなみに、この経理処理(資産計上)は法人のみですので、ご注意を。

倒産防止共済の経理処理は?【解約手当金編】

倒産防止共済の解約手当金の経理処理は、掛金を「費用として処理していた場合」と「資産に計上していた場合」とで異なります。

具体的には、次のとおり。

例えば、解約手当金8,000,000円を受け取った場合の仕訳です。

掛金を「費用(保険料)」として処理していた場合

仕訳例
借方科目金額貸方科目金額
普通預金8,000,000円雑収入8,000,000円

掛金を資産計上していないので、そのまま「雑収入」(収益)となります。

この場合、「申告書での調整は不要」です。

倒産防止共済の解約手当金について、会計上「収益」としており、法人税計算上も「収益(益金)」となりますので、調整は必要ありません。(⚠️法人税計算上、掛金を「費用(損金)」とした場合、解約手当金は「収益(益金)」となります。)

掛金納付時と同じく、申告書での調整は不要です。

掛金を「資産(保険積立金)」として計上していた場合

仕訳例
借方科目金額貸方科目金額
普通預金8,000,000円保険積立金8,000,000円

「保険積立金」の返還と考えます。
会計上、収益は発生しません。

この場合、「申告書での調整が必要」です。

会計上「収益」は発生しませんが、法人税計算上は「収益(益金)」となりますので、調整が必要です。(⚠️法人税計算上、掛金を「費用(損金)」とした場合、解約手当金は「収益(益金)」となります。)

具体的には、別表四と別表五(一)での加算調整です。

掛金納付時と同じく、申告書作成での「ひと手間」が必要です。

掛金納付時の経理処理が、解約時にも影響するんですね。

倒産防止共済の経理処理、結局、どっちがいい?

なるほど、、、。
で、どちらの方法がいいんだろう、、、?

そうですね。

どちらの方法も、それぞれ、メリット・デメリットがあります。

「申告書作成を、とにかく少しでも楽にしたい!」という場合は、掛金を「費用」として処理する方法を、

「融資を受けるためにも、金融機関の評価を少しでもよくしたい!」という場合は、掛金を「資産」として計上する方法を、というのも一案です。

ちなみに、どちらの方法も、法人税計算上、掛金は「費用(損金)」となります。(解約後、2年間を除く。)

確定申告書に一定の書類の添付等が必要となる点、ご注意ください。

それぞれの「メリデメ」を踏まえて、ご自身に合った方法を選択しましょう。
申告書作成が問題なければ、「資産」計上がおすすめです。

まとめ。

今回は、『倒産防止共済の経理処理は?融資審査や申告書作成にも影響?』について解説しました。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

  • 掛金納付時の経理処理は、融資審査や申告書作成にも影響する。
  • 掛金を「費用」とする方法は、申告書作成はシンプルだけど、融資審査的にはマイナスになる。
  • 掛金を「資産」とする方法は、申告書作成は少し面倒だけど、融資審査的にはプラスになる。
  • 申告書作成が問題なければ、「資産」計上がおすすめ。

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