倒産防止共済に加入すると、どういうメリットがあるんだろう、、、?
こんにちは。税理士の城戸です。
今回は、そんな疑問を持たれている方(個人事業主&法人)向けの記事です。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
倒産防止共済とは?
倒産防止共済とは、「突然の取引先の倒産」という「もしも」のときに、連鎖倒産や経営難から中小企業を守ろうとする国の制度(中小企業倒産防止共済法に基づく共済制度)です。
経営セーフティ共済とも言われます。
本来の目的は、連鎖倒産を防ぐことなんですね、、、。
加入対象者は、1年以上事業を継続している個人事業主や会社などの「中小企業」。
「1年以上事業を継続」ということで、創業初年度は加入できません。
ただ、個人事業主の法人成りの場合は例外で、事業の全部譲渡や役員登記など一定の要件を満たす場合には、加入することもできます。
ちなみに、医療法人は加入できませんので、ご注意を。
詳しくは、共済サポートnaviの『経営セーフティ共済の加入資格』や『よくあるご質問(FAQ)』をご確認ください。
加入した場合、毎月の掛金の納付が必要です。
倒産防止共済のメリットは?
共済金貸付制度
取引先が倒産し、売掛金等の回収が困難となった場合、無担保・無保証での借入れが可能です。
「倒産」とは、破産手続開始や更生手続開始の申立てといった法的整理などのこと。
「夜逃げ」は、含まれません。
借入額は、「回収困難となった売掛金等の額」と「納付済み掛金総額の10倍」のいずれか少ない金額。
最大で、8,000万円です。
「突然の取引先の倒産で、大大大ピンチ」といった「いざ」というときのセーフティネット、にはなります。
取引先の倒産等の確認後、速やかに借入れが可能な点もメリットです。
ただ、実質無利子ではありませんので、ご注意を。(けっこう、がっつりです、、、)
一時貸付金制度
取引先の倒産という「もしも」以外でも、事業資金の借入れが可能です。(掛金の納付月数が12ヶ月以上の場合)
借入額は解約手当金の範囲内、利率は年0.9%(令和6年4月1日時点)。
借入期間は1年で、期限一括返済。
利息は、借入時に一括前払いです。
同額借換等により、返済期日を延ばすことも可能です。
「臨時に事業資金が必要。でも、解約はしたくない、、、。」といった場合の1つの選択肢になります。
令和6年度税制改正により、令和6年10月1日以降の安易な解約はNGとなりますので、、、特にです。
年0.9%の利率も、いいですね。
一時貸付金制度の詳細については、共済サポートnaviの『一時貸付金制度』をご確認ください。
貯蓄にもなる。
掛金を40ヶ月以上納付している場合は、解約時に掛金の全額(解約手当金)を受け取ることができます。
通常の解約の場合です。
この、「掛け捨てにならず、貯蓄にもなる」という点も、1つのメリットです。
ただし、あくまでも「掛金を40ヶ月以上納付している場合」です。
40ヶ月未満の場合は、「目減り」や「掛け捨て」となりますので、ご注意ください。
貯蓄メリットは、「40ヶ月以上の掛金納付」が条件。
短期解約はNGです。
なお、解約には、みなし解約(共済契約者の死亡等)や機構解約(掛金滞納等)もあります。
詳しくは、共済サポートnaviの『共済契約の解約』をご確認ください。
節税(課税の繰延べ)にもなる。
毎月納付する掛金が、全額経費になります。(逆に、解約手当金は課税されます、、、。)
法人の場合は「損金」、個人事業主の場合は「事業所得の必要経費」です。
確定申告書に、一定の書類の添付が必要です。
添付忘れはNGですので、ご注意を。
なお、毎月の掛金は、5,000円〜20万円の範囲内で自由に選択できます。(掛金の積立上限800万円)
年(事業年度)の途中でも、増額・減額可能です。
良くも悪くも想定外のことが起こったときに、ありがたいですね。
前納ができるって、聞いたんだけど?
そうですね。前納することも可能です。
前納期間が1年以内であれば、全額を支払った年(事業年度)の経費にすることもできます。
「毎月の掛金」と「前納」で、最大460万円の経費計上も可能です、、、。(最大460万円は、「毎月」から「前納」に変更した年、事業年度のみです。)
ただし、、、くれぐれも、資金繰りには細心の注意を。
資金に余裕があるというのが、大大大前提です。
なお、掛金の増減も前納も手続が必要です。
締切もありますので、手続は余裕をもって行いましょう。
まとめ
今回は、『倒産防止共済、加入するメリットは?』について、解説しました。
倒産防止共済と言えば、「貯蓄➕節税」のイメージが強いですが、本来の目的でもある「もしものときのセーフティネット」であったり、「融資を受けることができる」といったメリットもあります。
特に、一時貸付金制度については、知らない方も多いようです。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
次回は、倒産防止共済のデメリットについて、解説します。
メリットだけではなく、デメリットの理解も大事です。
加入を検討する際は、ぜひ参考にしてみてください。
このブログは、更新日時点における法令等に基づいて作成しています。