倒産防止共済の掛金、経費にならない!?明細書添付が必要です。

法人税

倒産防止共済の掛金、経費にするためには「明細書」が必要?
「明細書」って何?記載方法など、詳しく知りたい。

こんにちは。税理士の城戸です。

今回は、そんな方(個人事業主&法人)向けの記事です。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

確定申告書に、明細書の添付が必要です。

倒産防止共済の掛金を「経費」にするためには、確定申告書に一定の明細書の添付が必要です。

明細書の添付がない場合、税務調査で経費否認される(経費にならない)可能性もありますので、ご注意ください。

なお、添付する明細書は、法人と個人事業主とで異なります。

具体的には、次のとおりです。

法人
  • 『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』
  • 『適用額明細書』
個人事業主
  • 『特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書』

法人の場合、『適用額明細書』も必要なんですね。
以下、もう少し詳しく解説します。

【法人】『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』

別表十(七)です。

4つの明細書(Ⅰ〜Ⅳ)が別表十(七)にはあり、その中の1つ(Ⅲ)が『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』になります。

下記書類が、別表十(七)です。
3つ目の区分にありますね。

記載事項は次のとおり。(別表十(七)のⅢに、記載します。)

別表十(七)
  • 基金にかかる法人名
    独立行政法人中小企業基盤整備機構
  • 基金の名称
    中小企業倒産防止共済事業
  • 告示番号
    空欄でOK
  • 当期に支出した負担金等の額
    当期に支払った掛金総額(前納金を含む)
  • 同上のうち損金の額に算入した金額
    ❹のうち、経費とした金額

❸については、番号はないようです。
❹と❺は、通常、同じ金額になりますね。

ちなみに、「別表」とは、法人税申告書を構成する書類のこと。

「別表」は数多くあり、必ず提出が必要なものと、必要に応じて提出すべきものがあります。(法人の規模や取引内容等によって、異なります。)

一般的には、別表一、別表二、別表四、別表五(一)、別表五(二)が「必ず提出が必要な書類」になります。(この明細書は、「必要に応じて提出すべき書類」です。)

現時点では、別表二十一まで。
すべて必要、というわけではありません、、、。

【法人】『適用額明細書』

適用額明細書とは?

法人が「租税特別措置法」の適用を受け、「税額や所得を減少させる場合」に提出が必要となる書類です。

倒産防止共済の掛金の経費計上は、租税特別措置法(「特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例」)の適用によるもの。 

掛金の経費計上で、税額等も減少しますね。

下記書類が、『適用額明細書』です。

記載事項

上段部分

次のとおりです。

記載事項
  • 期末現在の資本金の額又は出資金の額
    別表一(一)等の「期末現在の資本金の額又は出資金の額」と同じ金額
  • 所得金額又は欠損金額
    別表一(一)等の「所得金額又は欠損金額」と同じ金額
  • 整理番号
    別表一と同じ。
  • 提出枚数
    →『適用額明細書』の「総枚数が何枚で、そのうち何枚目?」ということ。
    ※通常、「1枚、うち1枚目」です。
  • 事業種目
    『事業種目・業種番号一覧表』(令和6年4月1日以後終了事業年度分)より、該当する事業種目を記載
    ※複数ある場合は、メインのものを。
  • 業種番号
    『事業種目・業種番号一覧表』(令和6年4月1日以後終了事業年度分)より、該当する業種番号を記載

整理番号、、、?

整理番号とは、税務署が納税者に割り当てた8桁の番号です。(マイナンバーや利用者識別番号とは異なります。)

もしも「?」の場合は、「申告のお知らせ」(申告時期に郵送 or メッセージボックスに格納)でも確認できます。

基本的に毎年同じ番号になりますが、転居等で税務署が変更となった場合には整理番号も変更となりますので、ご注意を。

分からない場合は、記載しなくてもOKです。

なお、最新の『事業種目・業種番号一覧表』については、下記をご参照ください。

(参照先)「国税庁HP」→「パンフレット・手引」→「法人税関係」→「適用額明細書に関するお知らせ」→「適用額明細書の記載の手引」

下段部分

次のとおりです。

記載事項
  • 租税特別措置法の条項
    →第66条の11第1項
  • 区分番号
    →00374
  • 適用額
    →上記『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』の❺の金額(別表十(七)Ⅲの「27」欄)と同じ金額

なお、税制改正により、「区分番号」等が変更になる可能性もあります。(同一措置であっても、、、)

申告ソフトが更新されていれば問題ないかと思いますが、念の為、ご注意ください。

最新の「区分番号」等については、下記をご参照ください。

(参照先)「国税庁HP」→「パンフレット・手引」→「法人税関係」→「適用額明細書に関するお知らせ」→「適用額明細書の記載の手引」(別表十(七)のPDFより)

『適用額明細書』は、後日の提出でもOK!?

倒産防止共済の掛金を「経費」にするためには、確定申告書に『適用額明細書』の添付も必要です。

ただ、もしも「添付を忘れていた!」という場合は、現時点では、後日の提出(記載内容に誤りがあった場合には、後日の再提出)でもOKとされています。(「故意に」は、もちろんNGです。)

適用額明細書の記載の手引(令和6年4月1日以後終了事業年度分)のQ&A(Q4)にもあります。

もし、添付を忘れていた場合は、必ず提出しておくようにしましょう。

ただし、「現時点」ですので、今後はお忘れなく。

なお、『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』については、「後日OK」ではありませんので、ご注意ください。

【個人事業主】『特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書』

次の書類です。

令和3年分以降、こちらの様式となっています。

、、、?任意の様式でOKだったような、、、?

令和2年分までは、任意の様式でOKでしたね。

ただその結果、「不備のある申告が多すぎる」と、会計検査院(国の監査役のようなもの)から指摘があったようで、、、

国税庁がこの明細書を公表したようです。

いずれにしても、令和3年分以降は、この明細書の添付を忘れないようにしましょう。

なお、記載事項は、次のとおりです。

記載事項
  • 基金にかかる法人名
    独立行政法人中小企業基盤整備機構
  • 基金の名称
    中小企業倒産防止共済事業
  • 告示番号
    空欄でOK
  • 当年に支出した負担金等の額
    当年に支払った掛金総額(前納金を含む)
  • 同上のうち必要経費に算入した金額
    ❹のうち、経費とした金額

❸については、番号はないようですね。

❹と❺は、通常、同じ金額になります。

ちなみに、個人事業主の方は『適用額明細書』は不要ですので、ご安心を。

この明細書の添付は、忘れずに。

まとめ

今回は、『倒産防止共済の掛金、経費にならない!?明細書添付が必要です。』について、解説しました。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

倒産防止共済の掛金、明細書の添付が必要です。
  • 掛金を「経費」にするためには、確定申告書に、明細書の添付が必要。
  • 法人は、『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』(別表十(七))と『適用額明細書』を。
  • 『適用額明細書』を忘れてしまった場合は、後日の提出でもOK。(「現時点」の対応なので、今後はお忘れなく)
  • 個人事業主は、『特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書』を。
  • 令和3年分以降は、上記明細書を。

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