社長の家賃を経費にできる?役員社宅制度について解説!

法人税

社長の家賃を経費にできる
って聞いたんだけど、、、
それって本当?
どういうこと?

こんにちは、税理士の城戸です。
今回は、そんな疑問を持たれている方向けの記事です。

社長(役員)の家賃を経費にすることができる“役員社宅制度”について、解説します。
守るべきルールについても解説していますので、ぜひ参考にしていただけるとうれしいです。
(※対象は従業員ではなく役員、かつ、自社保有ではなく“借り上げ”を前提としています)

それでは、早速見て
いきましょう。

役員社宅制度とは?

まず、大前提として、社長が個人的に契約して住んでいる自宅の家賃はプライベートな生活費です。
会社の経費にすることは、本来認められません。

ですが、、、

その家賃の一部を会社の経費にすることができる制度があるんです。
それが、役員社宅制度です。

役員社宅制度?

仕組みはとてもシンプルで、会社が家主と賃貸借契約を結んで「社宅」として借り上げ、社長から「一定の家賃(自己負担額)」を徴収するというものです。
「会社が支払う家賃」と「社長から徴収する家賃」との差額が、会社の経費になります。

普通に個人で支払えば1円も経費にならない家賃が、この制度を活用することで、その一部が会社の経費になるということですね。

ぜひとも知っておいて
ほしい節税対策の1つ
です。

ただし、個人事業主の場合は、事業主本人にこの制度を活用することはできません。
その点、ご注意ください。

【具体例】役員社宅制度で、どれくらい節税できる?

それではこの“役員社宅制度”で、どれくらい節税ができるのでしょうか?

社長が住んでいるマンションの家賃が月20万円だとして、社長から徴収する家賃(自己負担額)を月6万円(家賃の30%)とする場合を見てみましょう。

会社側

  • 家主へ支払う家賃:20万円/月
  • 社長から徴収する家賃:6万円/月
  • 会社が実質負担する家賃:14万円/月

つまり、
毎月14万円が会社の経費になるということです。

年間だと、
14万円 × 12か月 = 168万円
もの経費になりますね。

法人税等が25%の場合は年間で42万円、35%の場合だと年間で約59万円の節税になります。

ちなみに通常、家主へ支払う家賃は『地代家賃』、社長から徴収する家賃は『雑収入』で処理します。ぜひ、ご参考に。

社長個人側

一方、社長個人はどうでしょうか。

給与額が変わらないのであれば、

  • 所得税
  • 住民税
  • 社会保険料

は基本的に変わりません。

ですが、これまでは家賃として毎月20万円を支払っていたものが、6万円の支払いで済みます。
つまり、(所得税等の)負担は変わらず、実質的に毎月14万円の手取りが増えるということです。

通常、手取りを増やそうとすると負担も増えますから、社長個人側にとっても節税になるということですね。

役員社宅制度は、会社側に
も社長個人側にもメリット
がある制度です。

役員社宅制度には守るべきルールがある!

ただし、、、

役員社宅制度には、守るべきルールがあります。
そのルールを守らないと、税務調査で役員社宅の経費が否認される(給与とみなされ課税される)可能性がありますので、ご注意ください。

それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。

【ルールその1】必ず会社名義で住宅を借りる。

契約者は、必ず「会社」である必要があります。
そのうえで、その社宅を社長に貸与する(その社宅に社長が住む)という流れですね。

ただし、その社宅が(いわゆる)豪華社宅である場合には、そもそも“役員社宅制度”の対象となりませんので、ご注意ください。
(※例えば、床面積が240㎡を超えている場合や一般の社宅にはないプール等の設備がある場合などには、豪華社宅と判定される可能性があります)

その他、別荘やセカンド
ハウスの場合も厳しいで
すね。

【ルールその2】会社から家主へ直接家賃を支払う。

家賃は必ず、会社から家主へ「直接」支払うようにしましょう。
社長から家主に家賃が支払われている場合、役員社宅ではなく“社長個人の住居”と判断される可能性があります。

この制度は、会社が借りた社宅を社長(役員)に貸与する制度です。
社長から家主に直接家賃が支払われていると、「?」となってしまいますね。

必ず、会社の口座から
直接支払うようにしま
しょう。

【ルールその3】社長から一定額以上の家賃を徴収する。

そのうえで、社長から一定額(賃貸料相当額)以上の家賃を徴収します。
家賃をまったく徴収していない場合や賃貸料相当額に満たない場合には、その差額が給与として課税される(経費が否認される)可能性がありますので、ご注意ください。

お金の流れとしては、
会社から家主に直接家賃を支払って、社長から賃貸料相当額以上の家賃を徴収する
という流れです。
お間違いなく。

徴収方法としては、毎月の
社長の役員報酬から天引き
する方法が一般的ですね。

なお、賃貸料相当額については、国税庁が定めた算定方法によって計算します。
詳細は、国税庁/No.2600 役員に社宅などを貸したときをご確認ください。
(※必ず個別に計算する必要がありますが、一般的な社宅では実際の家賃の10%~30%程度となることが多いです。ご参考までに。)

【ルールその4】社内規程を整備する。 

最後に、役員社宅制度を導入する際は、その利用対象者や家賃の負担割合(賃貸料相当額以上)・徴収方法などを記載した「役員社宅規程」を整備しておくようにしましょう。

また、導入を決議した株主総会議事録や、会社名義の賃貸借契約書の写し、会社から家主へ家賃を支払っていることが分かる振込明細なども保管しておきます。

これらの書類は、役員社宅制度が適切に導入・運用されていることを税務調査で説明するための重要な資料です。
いつでも説明できるように、整理・保管しておきましょう。

もちろん、役員社宅規程と
実際の運用が一致している
というのが大前提です。

まとめ

今回は、『社長の家賃を経費にできる?役員社宅制度について解説!』について解説しました。

本来、社長が住む自宅の家賃はプライベートな生活費にあたるため、経費として認められません。
ですが、役員社宅制度を正しく活用すれば、その家賃の一部を会社の経費にすることができます。

ぜひ本記事を参考に、守るべきルールを守り、役員社宅制度を正しく活用していただければうれしいです。

  • 役員社宅制度とは、社長の家賃の一部を経費にすることができる制度。
  • 会社側では、法人税等を節税できる。
  • 社長個人側では、負担は変わらず実質的に手取りを増やせる。
  • ただし、ルールを守らないと経費が否認される可能性あり。
  • 【ルールその1】必ず会社名義で住宅を借りる。
  • 【ルールその2】会社から家主へ直接家賃を支払う。
  • 【ルールその3】社長から賃貸料相当額以上の家賃を徴収する。
  • 【ルールその4】社内規程を整備する。
  • 役員社宅制度は正しく活用しよう!

役員社宅制度は、出張手当と
同じく“課税の繰延”ではなく
“本当の意味での節税”です!

根拠法令等
  • 所得税法第36条
  • 所得税法施行令第84条の2
  • 所得税基本通達36-15
  • 所得税基本通達36-40
  • 所得税基本通達36-41

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