開業費の経費計上、自分のタイミングでOKと言われても、、、。
いったい、いつがいいんだろう?
こんにちは。税理士の城戸です。
今回は、そんな疑問を持たれている方(個人事業主)向けの記事です。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
経費計上のベストタイミング、、、考える際の3つのポイント。
前回のブログでもお話しした通り、個人事業主の開業費の経費計上は、自分のタイミングでOKです。
開業した年に全額経費にしてもいいし、しなくてもいい。
また、全額でも、少しずつでもいいんです。
理由は、開業費が「会計上の繰延資産」だから、、、。
詳しくは、下記ブログをご参照ください。
ただ、自分のタイミングでOKと言われても、、、ですよね。
そこで、今回は、「経費計上のベストタイミングを考える際の3つのポイント」について解説します。
ぜひ、経費計上する際の参考に。
まず、ポイントは次の3つです。
純損失の繰越控除
青色申告をしている場合、事業で生じた赤字(その年に他の所得があれば、その他の所得と相殺して残った赤字の金額)を繰り越して、翌年以後3年間の黒字の金額から控除することができます。
これを、「純損失の繰越控除」といいます。
翌年以後3年間の黒字と相殺して、税金を減らすことができるんですね。
なので、前年以前3年の間に赤字の年がある方は、この「純損失の繰越控除」がないか確認してみましょう。
もし控除できる金額が残っていれば、そちらを優先しましょう。
「純損失の繰越控除」のリミットは、3年。
開業費の経費計上は、いつでもOKです。
なお、「純損失の繰越控除」には、確定申告書の提出要件などもありますので、ご注意ください。
所得控除
「個人的な事情」も考慮して、所得税は計算されます。
「所得控除」といいます。
算式で示すと、次のとおり。(ざっくり)
所得税 🟰(事業所得など ➖ 所得控除額)✖️ 所得税率
個人的な事情(所得控除額)が控除されていますね。
所得控除は、全部で15種類。
生命保険料控除、寄附金控除、雑損控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除などなど。
有名な「ふるさと納税」は、寄附金控除ですね。
雑損控除とは、災害等によって住宅等に損害を受けた場合のものです。
個人個人の家族構成、扶養の有無等によって、金額は変わります。
ただし、この「所得控除」。
「事業所得など」から控除できなかった金額があったとしても、雑損控除以外、翌年以降に繰り越すことはできません。
なので、開業費の経費計上を考える際は、この所得控除額も確認しておきましょう。
開業費を経費計上したばかりに、所得控除額が控除しきれなかったら、、、
勿体無いですからね。
所得控除額を超える事業所得等が十分にある、、、というのが大前提です。
超過累進課税
所得税は、「超過累進課税」です。
所得が増えれば増えるほど、段階的に所得税率は高くなります。
詳しくは、下記サイトをご参照ください。
➡️国税庁 No.2260 所得税の税率
ちなみに、、、「超過」累進課税なので、
所得がある一定額を超えた場合、その超えた金額に対してさらに高い所得税率が適用され、そのある一定額までの金額には、それまでの所得税率がそのまま適用されるイメージです。
所得全体に対する所得税率が、高くなるわけではありません。
ときどき勘違いされている方もいるみたいですね。
いずれにしても、所得が増えれば増えるほど、段階的に所得税率は高くなっていきます。
開業費の経費計上を考える際は、この「超過累進課税」についても考慮しましょう。
所得がより大きい年に開業費を経費計上した方が、節税効果は高くなります。
『黒字が何年も続いていて、利益がけっこう出た年』でもOK!?
ここまで、「経費計上のベストタイミングを考える際の3つのポイント」について解説してきました。
難しい、、、。
そのように思われている方もいるかもしれませんね。
その場合は、
『黒字が何年も続いていて、利益がけっこう出た年』
に、開業費を経費計上してもいいかもしれません。
3つのポイントからしても、いいタイミングかなと思います。
もちろん個人個人で状況は違いますし、イレギュラーなこともあるかもしれないので、一概には言えませんが、、、。
参考までに、、、。
おわりに
今回は、『個人事業主の開業費、経費計上のベストタイミングを考えよう。』について解説しました。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
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