『対象外』って、どういう取引?【消費税の税区分】【収入編】

消費税

税区分の『対象外』。

どういう取引が、該当するんだろう、、、?

こんにちは。税理士の城戸です。

今回は、そんな疑問を持たれている方(個人事業主&法人)向けの記事です。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

税区分の『対象外』とは?

税区分の『対象外』とは、そもそも、消費税の課税の対象とならない取引のこと。

課税の対象とならない?

消費税の計算に関係のない取引、ということです。

次の4つの要件を満たさない場合、その取引は、『対象外』となります。(輸入取引や特定仕入れについては、今回割愛します。)

課税の対象となる?ならない?の4要件
  • 国内において行うもの
  • 事業者が事業として行うもの
  • 対価を得て行うもの
  • 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること

すべて満たせば、課税の対象。

いずれか1つでも満たさなければ、『対象外』です。

国内において行うもの

消費税は、国内取引(日本で消費使用されるもの)のみを、課税の対象とします。

国外取引は、『対象外』です。

国内か国外か、、、どうやって判定するの?

特許権など一部例外もありますが、基本的には、次の場所で判定します。(国内にあれば国内取引、国外にあれば国外取引です。)

内外判定の場所
  • 資産の譲渡・貸付け ➡️ 資産の所在場所
  • 役務の提供 ➡️ 役務の提供が行われた場所
  • 電気通信利用役務の提供 ➡️ 役務の提供を受ける者の住所等(本店等の所在地)

電気通信利用役務の提供とは、インターネット等を介して行われる電子書籍・音楽・映像・ソフトウェアや広告の配信などの役務の提供のこと。

平成27年度税制改正により、「役務の提供を受ける者の住所等(本店等の所在地)」で内外判定することとなっています。

具体例

対象外となるもの
  • 国外に所有する建物の貸付け
  • YouTubeの広告収入 1 2
  • YouTubeの企業案件収入で、外国法人(本店等の所在地は国外)から依頼を受けたもの 3 4

すべて、国外取引で『対象外』です。

  1. 「インターネット等を通じた広告の配信・掲載」として、電気通信利用役務の提供に該当します。 ↩︎
  2. YouTubeの広告収入を運営している法人(役務の提供を受ける者)は、「Google Asia Pacific Pte. Ltd.」というシンガポールの法人(本店等の所在地は国外)です。 ↩︎
  3. 「インターネット等を通じた広告の配信・掲載」として、電気通信利用役務の提供に該当します。 ↩︎
  4. 内国法人(本店等の所在地は国内)からの依頼の場合は、課税の対象となります。 ↩︎
番外編
  • 売掛金
  • 現金
  • 事業主貸など

「売掛金」や「現金」などの勘定科目も、税区分は『対象外』になります。(自動的に『対象外』が設定されていると思うので、そのままでOK。)

消費税の計算に関係のない勘定科目です。

取引登録するときに、ふと疑問に思うこともあるかもしれませんね。

事業者が事業として行うもの

法人が行う取引は、すべて「事業者が事業として行うもの」に該当します。

一方、個人事業主(事業を行う個人)が行う取引は、「事業として行うもの」かどうかがポイントです。

「事業として」とは、資産の譲渡等を「反復、継続、独立」して行うこと。

事業者の立場で行う取引は「事業として」に該当しますが、消費者の立場で行う取引は「事業として」に該当しません。

具体例

対象外となるもの
  • 個人事業主が、プライベートで(事業とは関係なく)所有している絵画を売却した場合
  • 個人事業主が、自宅を売却した場合
  • 個人事業主が、株式を売却した場合(株式の売買を事業としていない場合)

「事業として」に該当せず、『対象外』です。

課税の対象となるもの
  • 会社員が、建物の賃貸業も営む場合
  • 個人事業主が、店舗を売却した場合
  • 個人事業主が、事業の用に供している機械等を売却した場合

事業活動に付随して行われる取引も、「事業として」に含まれます。

対価を得て行うもの

有償か?無償か?ということです。

無償による取引は、『対象外』です。

具体例

対象外となるもの
  • 試供品や見本品の提供

無償による取引ですね。

ただし、無償であっても、次の取引は課税の対象となります。

課税の対象となるもの
  • 個人事業主が、商品を自分で(プライベート用に)消費使用した場合
  • 個人事業主が、事業用のパソコンをプライベート用に転用した場合
  • 法人が、車や商品を役員に贈与した場合

「みなし譲渡」といいます。

この場合、時価等の金額で売上計上する必要がありますので、ご注意ください。

個人事業主の場合、『家事消費等』という勘定科目がありますね。

資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること

ざっくり言うと、「売る・貸す・サービス」をしているかどうか、ということです。

「売る・貸す・サービス」をしていなければ、『対象外』です。

具体例

対象外となるもの
  • 配当金
  • 寄附金
  • 補助金、助成金
  • 保険金
  • キャンセル料
  • 損害賠償金
  • 立退料
  • 収益補償金、移転補償金など(収用に係る補償金)
  • ポイント

すべて、「売る・貸す・サービス」の対価ではないので、『対象外』です。

課税の対象となるもの
  • 解約手数料
  • 対価補償金(収用に係る補償金)

解約手数料は、「解約事務手続き」という役務の提供。

対価補償金は、「土地等が収用される」🟰「土地等の譲渡」、をしています。

「売る・貸す・サービス」の対価になります。

まとめ

今回は、「『対象外』って、どういう取引?【消費税の税区分】【収入編】」について、解説しました。

日々の取引登録における税区分。

消費税を正しく申告納税するうえでも、とても大事です。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

『対象外』となるもの(まとめ)【収入編】
  • 国外に所有する建物の貸付け
  • YouTubeの広告収入
  • YouTubeの企業案件収入で、外国法人(本店等の所在地は国外)から依頼を受けたもの
  • 売掛金
  • 現金
  • 事業主貸など
  • 個人事業主が、プライベートで(事業とは関係なく)所有していた絵画を売却した場合
  • 個人事業主が、自宅を売却した場合
  • 個人事業主が、株式を売却した場合(株式の売買を事業としていない場合)
  • 試供品や見本品の提供
  • 配当金
  • 寄付金
  • 補助金、助成金
  • 保険金
  • キャンセル料
  • 損害賠償金
  • 立退料
  • 収益補償金、移転補償金など(収用に係る補償金)
  • ポイント

このブログは、更新日時点における法令等に基づいて作成しています。