少額減価償却資産や一括償却資産。売却したら、譲渡所得?

所得税

少額減価償却資産や一括償却資産、、、売却した場合の所得区分は?譲渡所得?それとも、事業所得?

こんにちは。税理士の城戸です。

今回は、そんな疑問を持たれている方(一般的な個人事業主の方)向けの記事です。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

少額減価償却資産とは?
  • 使用可能期間が1年未満、又は、取得価額が10万円未満の減価償却資産。
  • 使用した年に、取得価額の全額を経費計上します。
一括償却資産とは?
  • 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産。
  • 使用した年以後3年間にわたって、取得価額の合計額の1/3ずつを、経費計上することができます。

前回のブログは、こちら。

【結論】少額減価償却資産・一括償却資産を売却した場合は、事業所得となります。

まずは、結論です。

少額減価償却資産や一括償却資産を売却した場合は、事業所得となります。

譲渡所得とはなりません。

資産を売却しているのに?譲渡所得ではない?

そうなんです。ややこしいですね。

譲渡所得とは、資産の譲渡(売却)による所得のこと。

土地、建物、株式等、ゴルフ会員権、宝石、機械器具(営業用固定資産)など、、、様々な資産が、譲渡所得の対象となります。

ですが、、、

譲渡所得の対象とならない資産があります。

次の資産です。

譲渡所得の対象とならないもの。
  • 金銭債権(貸付金や売掛金など)
  • 棚卸資産(商品や製品など)
  • 準棚卸資産(商品を入れている段ボールなど)
  • 少額減価償却資産、一括償却資産
  • 山林
  • その他、営利を目的として、継続的に譲渡する資産(貸衣装業の貸衣装など)

少額減価償却資産と一括償却資産も含まれていますね。

これらの資産は、譲渡所得としてではなく、他の所得として課税されます。

例えば、棚卸資産(商品や製品など)の譲渡は、事業所得。

準棚卸資産(商品を入れている段ボールなど)の譲渡は、事業所得又は雑所得。

そして、、、

少額減価償却資産や一括償却資産の譲渡については、事業所得となります。

少額減価償却資産や一括償却資産を売却した場合には、その売却代金を事業所得の収入金額に計上すればOKです。

取得価額については、すでに、経費計上されていますね。

【注意】少額重要資産・『少額減価償却資産の特例』の対象となる資産の譲渡。

ただし、次の資産の譲渡は、譲渡所得となります。

  • 少額重要資産の譲渡
  • 『青色申告者の少額減価償却資産の特例』の対象となる資産の譲渡

少額重要資産とは、少額減価償却資産や一括償却資産のうち、その事業において、基本的に重要な資産と考えられるもの。

例えば、製品の製造や商品の販売において直接必要な減価償却資産で、欠くことのできないものです。

少額重要資産の譲渡は、譲渡所得となります。

該当しないかどうかのチェックも、忘れずに。

『青色申告者の少額減価償却資産の特例』の対象となる資産とは、取得価額が10万円以上30万円未満の減価償却資産です。

使用した年に、取得価額の全額を経費計上します。

青色申告者のみの特例ですね。

この特例の対象となる資産を譲渡した場合も、譲渡所得となりますので、ご注意ください。

これらの資産を売却した場合には、その売却代金を、譲渡所得の収入金額に計上すればOKです。

売却のためにかかった費用があれば、マイナスしましょう。

ただし、、、

取得価額は、すでに経費計上されていますので、マイナスできません。

なお、これらの譲渡所得(土地や建物など一定の資産は除く。)については、年間50万円の特別控除があります。

50万円までは、課税されないっていうこと?

そうですね。ただし、消費税は課税されますので、ご注意ください。

まとめ

今回は、『少額減価償却資産や一括償却資産。売却したら、譲渡所得?』について、解説しました。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

  • 少額減価償却資産や一括償却資産を譲渡(売却)した場合には、事業所得となる。
  • ただし、少額重要資産に該当する場合は、譲渡所得となるので注意。
  • 『青色申告者の少額減価償却資産の特例』の対象となる資産の譲渡は、譲渡所得となる。
  • 譲渡所得(土地や建物など一定の資産を除く。)は、年間50万円まで、課税されない。(所得税)

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