買い手側の立場におけるインボイス制度【まとめ】

インボイス制度

こんにちは。税理士の城戸です。

今回は、買い手側の立場におけるインボイス制度について、少しまとめてみます。

全体的なイメージをつかんでいただけると、うれしいです。

消費税の課税事業者及び原則課税が前提です。

前回のブログは、こちら。

買い手側の立場におけるインボイス制度

原則

インボイス制度開始後は、原則として、一定の事項を記載した帳簿及びインボイス等の保存が仕入税額控除の要件となります。

つまり、インボイス等を発行することができるインボイス発行事業者からの課税仕入れについてのみ、仕入税額控除の適用を受けることができます

これが、原則です。

なのでまずは、買い手側として、次の2点の確認が大切です。

  • 課税仕入れの相手方が、インボイス発行事業者であるかどうか。
  • インボイス発行事業者である場合、受け取った請求書等がインボイス等に該当するかどうか。
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【経過措置①】免税事業者等からの課税仕入れ

インボイス制度開始にあたっては、経過措置や例外措置が設けられています。

その1つが、免税事業者等(インボイス発行事業者以外の者)からの課税仕入れについて。

免税事業者等からの課税仕入れについては、原則として、仕入税額控除の適用を受けることができません。

ですが、制度開始後6年間は、一定割合の仕入税額控除の適用を受けることができます

経過措置ですね。

この経過措置の適用を受けるためには、一定の事項を記載した帳簿及び請求書等の保存が必要

帳簿には、経過措置の適用を受ける旨の記載も追加で必要となりますので、忘れないようにしましょう。

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【経過措置②】帳簿のみの保存でOKな場合

帳簿のみの保存で、仕入税額控除の適用を受けることができる場合もあります。

少額特例です。

少額特例とは、一定規模以下の事業者が行う少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を認めるというもの。

ただし、制度開始後6年間の経過措置です。

課税仕入れの相手方は問いません。

課税仕入れの相手方は、インボイス発行事業者でも免税事業者でも個人でもOK、ということですね。

まずは、少額特例の適用対象者となるかどうかの確認もしておきましょう。

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【例外措置】帳簿のみの保存でOKな場合

インボイス等の交付を受けることが困難な一定の取引についても、帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができます。

例外的な取扱いです。

例えば、次のような取引がよく出てきそうです。

  • 3万円未満の電車代や自販機で購入した飲み物。
  • 切手を貼って郵便ポストに投函したもの。
  • 従業員等に支給する出張旅費等や通勤手当。

ただし、3万円未満の判定や一定の取引に該当しないケース、帳簿に追加で記載が必要な事項などもありますので、注意してくださいね。

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【補足】用語の意味

仕入税額控除とは?
  • 消費税額の計算上、「売上げた時に受け取った消費税」から「仕入れた時に支払った消費税」を控除すること。
課税仕入れとは?
  • 商品の購入、機械や建物等の事業用資産の購入又は賃借、運送等のサービスの購入その他事業のための購入のこと。
    ただし、次のものは課税仕入れに含まれません。
    ・土地の購入などの非課税取引
    ・給与や賃金など課税対象とならないもの

参考:国税庁No.6355 課税売上げと課税仕入れ

おわりに

今回は、買い手側の立場におけるインボイス制度について、少しまとめてみました。

仕入れや経費については、まずは原則を踏まえ、必要に応じて、経過措置や例外措置に該当しないか確認していきましょう。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

参考:インボイス制度について

このブログは、更新日時点における法令等に基づいて作成しています。