電子取引データ保存、最低限必要な対応は?

電子帳簿保存法

こんにちは。税理士の城戸です。

今回は、電子取引データ保存への最低限必要な対応について。

令和5年度税制改正の「検索要件の緩和」や「猶予措置」を踏まえた対応です。

システム導入なしでも大丈夫です!

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

前回のブログは、こちら。

令和6年1月1日以降の電子取引に対応しています。

売上高が5,000万円以下の場合

基準期間の売上高が「5,000万円以下」の事業者の場合は、次の対応をしたうえで、電子取引データを保存します。

基準期間とは、法人は前々事業年度、個人事業主は前々年ですね。

  • 事務処理規定を定め、運用し、備付けを行う。
  • パソコン・モニター・プリンタ、操作マニュアル等の備付けを行う。
  • 電子取引データについて、ダウンロードの求めに応じることができるようにする。

事務処理規定については、国税庁がサンプルを公開しています。

それぞれの状況に合うように、カスタマイズして作成してください。

➡️国税庁「参考資料(各種規定等のサンプル)」

「ダウンロードの求めに応じる」とは、「調査担当者に、電子取引データのコピーを提供すること」です。

税務調査の際、調査担当者にきちんと提出できるように、電子取引データを保存しておけばOKです。

保存は、PDFでもスクリーンショットでも大丈夫ですよ。

売上高が5,000万円超の場合【索引簿等を作成するケース】

基準期間の売上高が「5,000万円超」の事業者の場合は、2つの対応が考えられます。

まずは、1つ目の対応です。

  • 事務処理規定を定め、運用し、備付けを行う。
  • パソコン・モニター・プリンタ、操作マニュアル等の備付けを行う。
  • 電子取引データについて、ダウンロードの求めに応じることができるようにする。
  • 電子取引データについて、「日付・金額・取引先」で検索できるようにする。

そのうえで、電子取引データの保存をします。

「日付・金額・取引先」で検索できるようにする方法としては、例えば、「索引簿を作成する方法」や「規則的なファイル名を付す方法」などがあります。

①索引簿を作成する方法

電子取引データのファイル名に連番などを付け、エクセル等で「連番・日付・金額・取引先」の情報を入力した一覧表を作成する方法です。

エクセルのフィルター機能を利用して検索し、その連番からファイルにたどり着けます。

国税庁「電子取引関係パンフレット」より

索引簿についても、国税庁がサンプルを公開しています。参考にしてみて下さい!

➡️国税庁「参考資料(各種規定等のサンプル)」

②規則的なファイル名を付す方法

ファイル名に、「日付・金額・取引先」を入力する方法。

エクスプローラーやFinderで検索できます。

国税庁「電子取引関係パンフレット」より

売上高が5,000万円超の場合【プリントアウトする場合】

次に、2つ目の対応です。

  • 事務処理規定を定め、運用し、備付けを行う。
  • パソコン・モニター・プリンタ、操作マニュアル等の備付けを行う。
  • 電子取引データについて、ダウンロードの求めに応じることができるようにする。
  • 電子取引データについて、書面の提示・提出の求めに応じることができるようにする。

「書面の提示・提出の求めに応じることができるようにする」ためには、電子取引データをプリントアウトして、日付・取引先ごとに整理しておく必要があります。

プリントアウトする時期については決まっていませんが、

税務調査の際に、きちんと提示・提出できるよう、日頃からプリントアウトして整理しておきましょう。

電子取引データの保存も忘れずに!

電子取引データ保存、最低限必要な対応も出来ない場合、、、

人手不足で、、、どうしても対応できない場合は?

その場合は、「猶予措置」があります。

人手不足や資金不足等で、どうしても準備が間に合わない場合は、次の対応でも大丈夫です。

  • 電子取引データについて、ダウンロードの求めに応じることができるようにする。
  • 電子取引データについて、書面の提示・提出の求めに応じることができるようにする。

注意点は、電子取引データの保存も必要ということです。

令和5年12月31日までの「宥恕措置」との大きな違いですね。

プリントアウトして保存したからといって、電子取引データを削除しないよう気をつけてください。

とりあえずの「猶予措置」なので、少しずつ対応していきましょう!

おわりに

今回は、電子取引データ保存への最低限必要な対応について、解説しました。

電子取引データ保存は、システム導入なしでも大丈夫です。

まずは、対応できそうな方法から始めて、少しずつデジタル化を進めていきましょう!

いずれにしても、データは絶対に削除しないでくださいね。

参考:電子帳簿等保存制度(特設サイト)

このブログは、更新日時点における法令等に基づいて作成しています。