こんにちは。税理士の城戸です。
今回は、インボイス制度の経過措置の1つ、『少額特例』について。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
消費税の課税事業者及び原則課税を前提としています。
立場としては、買い手側です。
前回のブログは、こちら。
帳簿のみの保存で、仕入税額控除が認められる場合がある。
インボイス制度開始後は、原則として、一定の事項を記載した帳簿及びインボイス等の保存が仕入税額控除の要件となります。
ただし、帳簿のみの保存で、仕入税額控除の適用を受けることができる場合があります。
次の場合です。
このうち、今回は、『少額特例』について解説します。
例外措置については、下記ブログで解説しています。
少額特例(経過措置)
少額特例とは、一定規模以下の事業者が行う少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を認めるというものです。
令和5年度の税制改正事項ですね。
適用対象者は?
適用対象者は、次のとおり。
基準期間とは、個人事業主は前々年、法人は前々事業年度のこと。
特定期間とは、個人事業主は前年1月1日から6月30日までの期間、法人は前事業年度開始の日以後6月の期間です。
法人は、事業年度が1年の場合ですね。
なお、特定期間における課税売上高については、課税売上高に代えて、特定期間の給与等支払額の合計額で判定することはできません。
納税義務の判定とは異なりますので、ご注意を。
また、「又は」なので、いずれかに該当すればOK。
新たに設立した法人で、その課税期間の基準期間がない場合は、特定期間の課税売上高が5千万円を超えたとしても、少額特例の適用対象者となります。
適用対象期間は?
適用対象期間は、次の期間です。
制度開始後6年間の経過措置です。
事業年度単位や課税期間単位ではありませんので、ご注意ください。
令和11年9月30日までの課税仕入れが対象、ということですね。
ちなみに、課税仕入れの相手方は、インボイス発行事業者でも免税事業者でも個人でもOKです。
少額特例の、少額とは?
少額(税込1万円未満)かどうかは、1商品ごとの金額ではなく1回の取引の金額で判定します。
以下、具体例です。(インボイス制度Q&A 問112より。)
最後の清掃業務については、月単位の取引と考えます。
100,000円の取引ですね。
帳簿の記載事項
少額特例の適用を受けるための帳簿の記載事項は、次のとおりです。(今までと同じです。)
なお、少額特例の適用がある旨の記載は、必要ありません。
例外措置を適用する場合などとは、異なりますね。
帳簿の保存(7年間)も忘れないようにしましょう!
おわりに。
今回は、インボイス制度の経過措置の1つ、『少額特例』について解説しました。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
参考:インボイス制度について
このブログは、更新日時点における法令等に基づいて作成しています。