配当金の受取方法の選択って、税金的に何か影響ある?
受取方法は、どうしたらいいんだろう。
こんにちは。税理士の城戸です。
今回は、そんな疑問を持たれている方(個人の方)向けの記事です。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
前回のブログは、こちら。
配当金の受取方法
上場株式の配当金の受取方法には、次の4つの方法があります。
まずは、それぞれの受取方法について、簡単に解説します。
配当金領収証方式とは?
発行会社から郵送される『配当金領収証』と引き換えに、配当金(現金)を受け取る方法です。
『配当金領収証』とは、会社が各期の配当金を支払う際に作成し、株主に送付するもの。
支払配当金額その他の事項が記載されています。
領収証という名称ですが、配当金の引換証ですね。
ゆうちょ銀行などの窓口に持参することで、配当金を受け取れます。
払渡期間や除斥期間もありますので、受け取りを忘れずに。
登録配当金受領口座方式とは?
すべての銘柄の配当金を、あらかじめ指定した1つの銀行口座等で受け取る方法です。
登録配当金受領口座方式を選択した場合、他の証券会社等で保有する銘柄も含めてすべて、この方法による受け取りとなります。
他の方式との併用はできません。
個別銘柄指定方式とは?
銘柄ごとに、あらかじめ指定した銀行口座等で受け取る方法です。
個別銘柄指定方式を選択した場合、銀行口座等を指定していない銘柄については、配当金領収証方式での受け取りとなります。
株式数比例配分方式や登録配当金受領口座方式との併用はできません。
株式数比例配分方式
証券口座で配当金を受け取る方法です。
証券会社が複数ある場合は、その保有残高に応じて、各証券会社の証券口座で受け取ります。
株式数比例配分方式を選択した場合、他の証券会社等で保有する銘柄も含めてすべて、この方法による受け取りとなります。
他の方式との併用はできません。
株式数比例配分方式以外の方法で受け取る場合
次に、配当金の受取方法の税金への影響について。
まずは、配当金領収証方式、登録配当金受領口座方式、個別銘柄指定方式で受け取る場合です。
配当金の確定申告
1回に支払を受ける配当金ごとに、『確定申告する or 確定申告しない』の選択が可能です。
同じ銘柄でも、中間配当、期末配当ごとに選択できます。
『一部を確定申告して、一部を確定申告しない』という選択もできますね。
配当金は、
など、複数の選択肢があります。
1回に支払を受ける配当金ごとに『確定申告する or 確定申告しない』の選択が可能な場合、さらに、有利不利を考える際の選択肢も広がります。
例えば、
上場株式等の譲渡損失と同じくらいの金額の配当金(の組み合わせ)を確定申告して、残りは確定申告しない、
など。
この場合、配当金を確定申告しても譲渡損失と損益通算され、国民健康保険料や配偶者控除等に影響はありません。(源泉徴収された税金も還付されます。)
⚠️個々の状況にもよりますので、ご注意ください。
ただ、いずれにしても、選択肢は広がりますね。
なお、配当金を確定申告する場合、その配当金のすべてについて、総合課税か申告分離課税のいずれかを選択する必要があります。
『一部を総合課税、一部を申告分離課税で確定申告する』ことはできませんので、ご注意を。
NISAの配当金、非課税になる?
NISA口座の株式の配当金は、非課税となりません。
配当金領収証方式や登録配当金受領口座方式、個別銘柄指定方式を選択した場合、NISA口座で保有する株式の配当金は課税(源泉徴収)されます。
源泉徴収税率は、20.315%。
所得税及び復興特別所得税が15.315%、住民税が5%です。
大きなデメリットですね。
株式数比例配分方式で受け取る場合
配当金の確定申告
特定口座(源泉徴収あり)で配当金を受け入れる場合
①特定口座(源泉徴収あり)ごとに選択
株式数比例配分方式を選択して、特定口座(源泉徴収あり)で配当金を受け入れる場合、特定口座(源泉徴収あり)ごとに、『確定申告する or 確定申告しない』の選択をする必要があります。
口座ごとなので、口座内のすべての配当金等(口座内の上場株式等の利子等も含みます)について、『確定申告する or 確定申告しない』の選択をします。
口座内の配当金等の『一部を確定申告、一部を確定申告しない』という選択はできません。
また、口座内の譲渡損失を確定申告する場合は、その口座内の配当金等も併せて確定申告する必要もあり、1回に支払を受ける配当金ごとに選択できる場合と比べ、選択肢は狭まります。
上場株式等の譲渡損失と同じくらいの金額の配当金(の組み合わせ)を確定申告して、、、ということも難しそうですね。
なお、特定口座(源泉徴収あり)が複数ある場合は、各口座ごとに選択できます。
②特定口座内での損益通算が可能
株式数比例配分方式を選択して特定口座(源泉徴収あり)で配当金を受け入れる場合、その口座内の上場株式等の譲渡損失との損益通算が、自動的に行われます。
確定申告することなく、譲渡損失との損益通算が可能ということです。
『確定申告不要』というメリットですね。
なお、他の特定口座や一般口座の譲渡損失と損益通算する場合は、確定申告が必要となります。
特定口座(源泉徴収あり)で配当金を受け入れない場合
この場合は、1回に支払を受ける配当金ごとに、『確定申告する or 確定申告しない』の選択が可能です。
配当金領収証方式、登録配当金受領口座方式、個別銘柄指定方式で受け取る場合と同様です。
⚠️一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で譲渡益が生じた場合は、確定申告が必要です。
国民健康保険料や配偶者控除等への影響もありますので、注意が必要です。
NISAの配当金、非課税になる?
NISA口座の株式の配当金は、非課税となります。
株式数比例配分方式を選択した場合、NISA口座で保有する株式の配当金は課税(源泉徴収)されません。
『株式数比例配分方式』の大きなメリットですね。
まとめ
今回は、『配当金の受取方法と、、、税金。』について、解説しました。
配当金の受取方法の選択は、確定申告やNISAの配当金など、税金的な影響もあります。
それぞれの方法の特徴やメリット・デメリットも踏まえたうえで、選択していきましょう。
ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。
個々の状況に応じて、慎重に選択してくださいね。
現行の制度では、確定申告の有無で国民健康保険料などの負担に違いが生じていますが、今後は、確定申告の有無に関係なく保険料算定に反映される可能性もあります。
詳しくは、下記ブログを参考にしてみてください。
なお、配当金の税金については、下記ブログで詳しく解説しています。
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