配当金と利子の税金。確定申告は必要?不要?

所得税

配当金や利子の税金、、、。

何もしなくてもいい?それとも、確定申告必要?

損益通算?配当控除?

こんにちは。税理士の城戸です。

今回は、そんな疑問を持たれている方(個人の方)向けの記事です。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

前回のブログは、こちら。

配当金と利子の税金(源泉徴収)

株式等の配当金や預貯金等の利子は、その受け取りの際、収入金額に一定の税率を掛けた金額が、源泉徴収されています。

一般口座でも、特定口座でも、、、です。

NISA口座で受け取る場合以外、ですね。

源泉徴収?すでに、税金が差し引かれているということ?

そうですね。

配当金等の支払者が、その差し引いた税金(収入金額に一定の税率を掛けた金額)を、納税者の代わりに納付しています。

一定の税率(源泉徴収税率)は、次のとおりです。

上場株式等の利子等・配当金等

源泉徴収税率は、20.315%です。

所得税及び復興特別所得税が15.315%、住民税が5%。

復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興財源確保のために創設されたものです。(所得税額の2.1%)

今のところ、令和19年までのようですね。

上場株式等の利子等・配当金等とは、次のようなものです。

上場株式等の利子等・配当金等
  • 上場株式の配当金(大口株主が支払を受けるものを除く。)
  • 公募株式投資信託の収益の分配
  • 特定公社債(国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債など)の利子
  • 公募公社債投資信託の収益の分配など

大口株主とは、上場株式の発行済株式総数の3%以上を保有する株主。

「公募」とは、不特定多数の投資家に向けて募集するものです。

証券会社や銀行等で、一般向けに販売されているものは、「公募」ですね。

一般株式等の配当金等・大口株主が支払を受ける上場株式の配当金

源泉徴収税率は、20.42%(所得税及び復興特別所得税のみ)です。

一般株式等の配当金等とは、上場株式等以外の株式等の配当金等。

例えば、非上場株式の配当金、などです。

預貯金等の利子等

源泉徴収税率は、20.315%。

所得税及び復興特別所得税が15.315%、住民税が5%です。

預貯金、特定公社債以外の公社債、私募公社債投資信託などの利子等が該当します。

特定公社債とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債など。

「私募」には、適格機関投資家(証券会社や銀行、保険会社など)のみを対象とするもの(プロ私募)や、募集対象者数を限定するもの(少人数私募)があります。

「公募」とは、不特定多数の投資家に向けて募集するものですね。

配当金と利子の税金(確定申告)

源泉徴収されているということは、、、確定申告は不要?

それぞれ解説しますね。

ちなみに、NISA口座で受け取る場合は非課税1なので、確定申告は不要です。

  1. 配当金の受取方法として、「株式数比例配分方式」を選択した場合。 ↩︎

上場株式等の利子等・配当金等

確定申告必要?不要?

原則、確定申告が必要ですが、「確定申告しない」という選択も可能です。

なお、確定申告する場合は、源泉徴収された税金は精算されます。

確定申告する場合

上場株式の配当金や、公募株式投資信託の収益の分配など(配当所得)については、「総合課税」か「申告分離課税」のいずれかを選択して、確定申告します。

課税方法の選択です。

また、特定公社債(国債、地方債など)の利子や公募公社債投資信託の収益の分配など(利子所得)については、「申告分離課税」のみの選択になります。

総合課税?申告分離課税?

簡単に説明すると、次のとおりです。

総合課税とは?
  • 総合課税の対象となる他の所得(不動産所得、事業所得、給与所得など)と合算して、税金計算をする課税方法。
  • 所得が多くなればなるほど、段階的に税率が上がる「超過累進税率」(5%〜45%)が適用される。(復興特別所得税も)
  • 住民税は、10%。
  • 「配当控除」の適用あり。
申告分離課税とは?
  • 他の所得と合算せず(他の所得とは分けて)、税金計算をする課税方法。
  • 税率は、20.315%。(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)
  • 「上場株式等の譲渡損失との損益通算」可能。

配当控除や損益通算の適用を受けるためには、確定申告が必要、、、ということ?

一部例外もありますが、そうなりますね。

ただ、確定申告することで、合計所得金額は増加します。

合計所得金額の増加は、配偶者控除等の各種控除や国民健康保険料にも、影響を及ぼす可能性がありますので、注意が必要です。

どの選択が良いのかは、個々の状況にもよります。

総合的に判断するようにしましょう。

参考

現行の制度では、確定申告の有無で国民健康保険料などの負担に違いが生じています。

ですが、今後は、確定申告の有無は関係なくなる可能性もあります。

詳しくは、下記ブログを参考にしてみてください。

なお、配当金の受取方法については、下記ブログで詳しく解説しています。

一般株式等の配当金等・大口株主が支払を受ける上場株式の配当金

確定申告必要?不要?

原則、確定申告が必要です。

ですが、その配当金等が少額の場合は、所得税について「確定申告しない」という選択も可能です。

少額かどうかは、1銘柄につき1回に支払を受けるべき金額により判定します。

配当計算期間が1年の場合は、10万円以下。

半年の場合は、5万円以下です。

なお、住民税については、確定申告が必要となりますので、ご注意ください。

住民税については、源泉徴収されていませんね。

確定申告する場合

「総合課税」のみの選択になります。

配当控除の適用が可能です。

預貯金等の利子等

確定申告必要?不要?

源泉徴収だけで納税が完結する、源泉分離課税です。

確定申告をすることは、できません。

ただし、国外で支払われる預金等の利子など(国内で源泉徴収されていないもの)は、「利子所得」として、原則、確定申告が必要です。

総合課税の対象となり、申告分離課税の対象とはなりません。

海外口座の預金利子、などがあります。

間違いやすいところですので、ご注意ください。

まとめ

今回は、『配当金と利子の税金。確定申告は必要?不要?』について、解説しました。

ぜひ、参考にしていただけるとうれしいです。

  • 配当金や利子は、すでに源泉徴収されている。
  • 上場株式の配当金は、確定申告不要も選択可能。
  • ただし、配当控除や損益通算を受けるためには、確定申告が必要。
  • 非上場株式の配当金は、確定申告が必要。(少額の場合を除く。)
  • 預貯金等の利子は、源泉徴収で納税完結。(確定申告不可)
  • ただし、海外口座の預金利子は、確定申告必要。(注意)
参考サイト

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